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やっぱり言っておくことにした。
みんなはもうあたしが忘れてると思ってるから。
引きずってなんかいないと思ってるから。

ほんとうにほんとうにすきだった。
だいすきだった。
声がすきだった。
手がすきだった。
優しく見下ろす目がすきだった。
運転する姿がすきだった。
友達のことを楽しそうに話す姿がすきだった。
お酒を飲む姿がすきだった。
笑った顔がすきだった。
同じこと考えて恥ずかしそうに笑う顔がすきだった。
たまに呼ぶあたしの名前がすきだった。
なによりもなによりも、
一緒にいる空気がすきだった。

その全部が他の人のものになったことよりも、
その全部をもう見ることも叶わないことがかなしい。

恋人になんかなれなくても、
そばにいられなくても、
それでもいいから忘れられたくなかった。
一生彼に覚えていて欲しかった。
たまに思い出しては、あのころは楽しかったって思ってほしかった。
あたしが今そうしてるみたいに。
なかったことになんかしないで。
無視なんかされたくなかったよ。

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