昔好きだったひとが会いにきた。
どういう意図なのか分かりかねていたけど、多分本当にただこの場所に来てみたくて、たまたまそこに私がいただけだったんだろう。

懐かしかった。
私のことを見下ろす角度も。
車の隣に座るのも。
ふと振り返って笑いあうのも。
言いたいことが分かるのも。
酔っ払うと見つめてくる癖も。
本当に本当に懐かしかった。
3年前に戻ったみたいだった。

でも気持ちは戻らなかった。
ずっと、会えたらどうしよう、何を話そう、なんて考えていたのに、
3年ぶりの再会は予想以上にあっさりしていて、
すぐに普通に話すことはできなかったけど、
二日目には昔みたいに笑い合えてた。
昔、というのはその人に恋心を抱く前のこと。
どきどきは、しなかったなあ。
緊張はちょっとしたけど、すぐに慣れた。

同じストローでジュースを飲むのも、
同じフォークでケーキを食べるのも、
あのころみたいに胸が痛くはならなかったなあ。
むしろ、相手の反応をうかがっている私がいた。
嫌な大人になったものだ。

でも、ふられたあのころは、いつか再会したときは、
ずっとずっといい女になっていて、後悔させてやる、
私のことを好きにさせて、今度はこっちからふってやる、なんて
変な野望を抱いてもいたのだけど。
そんな気はぜんぜん起きなくて、
ただひたすら居心地が良かった。
ああ、本当に、心から、友達だったんだなあと思った。
少しはみ出してしまっただけで、3年も損してしまったけど。
私とそのひとは本当に友達だったんだ。
大切な友達になれる気がした。

こういう風に思えるのも彼のおかげだと思う。
私はふっきれた気がする。
もうあのひとの呪縛にとらわれてなんかいない。
もうあのひとのことは好きじゃない。
過去は過去で、もう純粋な思い出になっている。
私が生きているのは今で、愛しているのは彼で、愛してくれているのも彼なのだ。
そう思えた。
そして、決心した。
またいつか揺らいでしまうかもしれないけど。
今の私は、彼と一緒に歩いて生きたいと思っている。
彼の傍で、彼を愛して生きたい。

ずっと会いたかったひとは、私を現在に戻してくれた。
会えば過去に戻ってしまうかもしれないと恐れていたのに。
私の選択は正しかったんだ。

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